全国の「社長」の平均年齢は63.76歳

調査会社の東京商工リサーチによれば、全国の400万社の社長の平均年齢は「63.76歳」でした。これは、前年から0.76歳上がっています。
(中略)
70代以上は「赤字」や「連続赤字」が他の年代より多くなっています。つまり、社長が高齢化するほど、会社の業績が伸び悩む傾向があるといえるでしょう。東京商工リサーチでは、「高齢の社長は、長期的展望に立った設備投資や経営改善に消極的になりがちで、生産性向上を阻害し業績低迷につながりかねない」と分析しています。
(中略)
平均年齢がもっとも高いのは、幼稚園から大学、専修学校まで含む「学校教育」で「68.19歳」でした。次に多いのが「織物・衣服・身の回り品小売業」で「68.18歳」です。三番目に農協や漁協などの「協同組合」が「67.90歳」で続きます。一方、平均年齢が最も低いのは、「インターネット附随サービス業」で「48.66歳」でした。
(シニアガイド 2月6日)

高齢化に伴って勤労者の年齢が上昇する中、社長の平均年齢が上がっていくのは自然ではある。ただ、東京商工リサーチの調査が示すように、業種によって社長の年齢は異なる。学校教育は、実務的な運営は園長や校長が担い、経営者である理事長は大局的な経営上の判断だけを下すことが多く、高齢でも担える程度に経営者の負荷は小さい。衣料品の小売店は、少数の大企業を除けば、固定客相手の小規模な店舗が多くを占め、後継者は少なく、経営者が高齢になっても代替わりすることなく続けている。農協や漁協は、そもそも組合員が高齢であり、組合長が高齢になるのはむしろ当然だ。一方、インターネット附随サービス業は、産業として新しく、創業者が若いため、社長の平均年齢は低くなる。

こうしてみると、社長の平均年齢が高い業界には、それぞれそうなる理由があるようだ。実態は、東京商工リサーチの指摘とは逆に、生産性を向上させなくても淘汰されない業界では、長期的展望に立った設備投資や経営改善の必要性が低く、経営者が高齢でも問題ないのかもしれない。そもそも、日本経済にとっての問題は、社長の年齢ではなく、「長期的展望に立った設備投資や経営改善に消極的になりがち」な企業が、補助金などの保護政策で淘汰されず、赤字でも生き残っていることによって、経済全体の生産性が向上しないことにある。重要なのは、社長の若返りよりも、社長が長期的展望に立った設備投資や経営改善をしなければ、会社が倒産するような社会を作ることだ。