90代の親を介護する60代「老老介護で働けないシニア」
人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。
(中略)
介護などなんらかの家庭の事情を抱えたシニアワーカーは、仕事のどのような部分がネックとなりやすいのだろうか。やはり、一番ネックとなりやすく、制限がかかるのは労働時間だ。長時間の労働が難しい、あるいは特定の時間しか働けないといった制限が出てきやすい。介護を抱えていると、要介護認定区分など被介護者の状況やほかの家族の存在、利用している介護サービスの状況にも左右されるからだ。
(日刊SPA 3月8日)
80代の親が引きこもりの50代の子どもの生活を支える8050問題が話題になっているが、逆に、60代の子どもが90代の親の介護を担う老々介護の問題も深刻になってきた。対象となる人の数の多さから言えば、老老介護の方がより社会的なインパクトの大きな問題かもしれない。
60代の子どもであれば、配偶者間の老々介護に比べ、体力的にはまだ健康だが、健康なだけに仕事をしている場合が多く、仕事と介護の両立が問題となる。介護休業制度のような介護離職対策を取っている企業もあるが、その対策のターゲット層は、主に、50代正社員だ。たとえば、60歳で定年を迎え、再雇用されている60代の社員に対しては、所定労働時間短縮等の措置が十分でないケースもある。仕事と介護の両立には、短時間勤務制度やフレックスタイム制度の導入は効果的だ。企業が60代の活用を真剣に考えるなら、中高年層と同様の介護休業制度を整備することが重要になる。