USJ、シニアを「クルー」に 25年までに200人採用
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)を運営するユー・エス・ジェイは、60歳以上のシニアを「クルー」と呼ぶスタッフに採用する。2025年までに約200人を確保する。不足する人材を補いつつ、来園客の年齢層を広げることにもつなげたい考えだ。
(中略)
若者やファミリー層を主な顧客に想定するイメージの強いテーマパークだが、少子高齢化が進むにつれ、来園者のボリュームゾーンは上がる。テーマパーク論が専門の桜美林大学の山口有次教授は「(USJが開業した)20年前の主要顧客が年齢を重ねても来園する。シニアスタッフの落ち着いた接客に需要はある」と指摘する。
(日本経済新聞 2月17日)
人手不足の深刻化を背景に、シニアの雇用機会は拡大しているが、USJの場合は、単にマンパワーを確保するためだけではなく、「落ち着いた接客」のようなシニア固有の付加価値にも着目して、シニアの募集に踏み切った。20年前に子どもを連れて来ていた40代は、今は60代になる。USJの顧客層の年齢はUSJの歴史とともに上がってきた。顧客のエクスペリエンスの向上には、顧客層と同年代のスタッフによる接客には一定の効果がある。顧客の年齢層が比較的高いデパートや高級レストランに高齢の店員がいるのも同じ理由だ。
人手の確保が目的なら、まず若手を募集し、賄人が十分に集まらなかったら、シニアで補完するという優先順位になる。しかし、シニアにしかない価値を獲得しようとするなら、まず、シニアの採用を優先することになる。高齢化によるシニア向け市場の拡大に伴って、労働市場におけるシニアの需要も高まり、USJのようにシニア人材の新規獲得に動く企業も増えてくるだろう。