東南アジアに迫る「日本並み」高齢化
東南アジアに老いが迫っている。生産年齢人口(15〜64歳)が全体に占める割合は2024年に低下に転じる見通し。今後、高度成長期以降の日本のような高齢化の波が押し寄せる。
(中略)
東南アジアの変化に日本も無縁ではいられない。とりわけ労働力は深く依存してきただけに影響が大きい。23年10月時点の外国人労働者は初めて200万人を超え、国別ではベトナムが約52万人で最も多かった。フィリピンも約23万人で3位。明治大学の加藤久和・副学長は「自国が人手不足になれば日本に労働者を送り出しにくくなる」とみる。
(日本経済新聞 2月10日)
東南アジアの高齢化の問題は、日本のマスコミでもたびたび取り上げられるようになってきた。日本にとって、主要な投資先や貿易相手であり、労働力の供給地でもある東南アジアが、高齢化にうまく対処できるかどうかは、日本の将来にも関わることだ。
日本企業は、経済成長がピークアウトしたと見られる中国や東南アジアから、今後、人口増加と経済成長が見込まれるインドなどへ投資をシフトしている。日本のグローバル企業にとってタフな戦略転換ではあるが、進出地域の転換は今までにも経験してきたことであり、おそらく、一定の成功を収めるだろう。
一方、東南アジアからの労働力の供給が細ることについては、日本の対応に難しさが残る。これまで、東南アジアからの外国人労働者に頼っていたのは、農業、漁業などの第一次産業や介護、飲食店などのサービス業だ。いずれも事業者の規模が比較的小さく、事業者単独では新たな外国人労働者を獲得するための有効な対策をうつことは難しい。結局、国が、マクロ経済政策を見直して、日本経済が高い成長力を取り戻すようにし、金利を上げて円安から円高に誘導することによって、外国人から見て日本で働くことがより魅力的に見えるようにする他はなさそうだ。