「ミライスピーカー」話題のシニアベンチャーが60代社員を大事にするワケ
2023年9月に総務省統計局が発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、全国の総就業者に占める65歳以上の割合は、過去最高の13.6%を記録。
(中略)
サウンドファンは、20代から70代の幅広い年齢層のスタッフが在籍するベンチャー企業であり、採用の際も年齢より個人のスキルを重視しているという。
「当社では、主に自社製品の『ミライスピーカー』シリーズの製造・販売を行っています。ミライスピーカーはテレビの聞こえ、特に言葉がはっきりと聞き取りやすくなる特許技術『曲面サウンド』を採用したスピーカーです」
(中略)
「当社にとって、シニア世代の価値は“経験”にあります。現役時代のようにフルタイムで働くのではなく、彼らの可能な範囲で経験を生かせる環境を整えるのが、今後シニアと働く企業に求められる要素かもしれませんね」
(DIAMOND online 2月6日)
高齢者人口の増加につれて、シニア向け市場の規模は拡大を続けている。そして、シニア向け市場の成長は、既存商品の販売増だけでなく、ミライスピーカーのような新商品の出現によっても支えられてきた。それらのシニア向けの商品開発には、この記事が紹介するように、シニアのエンジニアが深く関わっていることも多い。
バブル崩壊以降、日本経済のデフレと円高で製造業の製造拠点の海外移転が進んだ。さらに、成長率の高い海外市場でのシェア拡大を目指して、開発拠点も現地へ移した。その結果、日本国内の開発力は相対的に低下し、新商品の企画、開発を担うエンジニアの層が薄くなっている。そのような中、かつて、商品開発を牽引していたシニアが持っている開発のノウハウとスピリットは貴重だ。企業はそれを活かす必要があるし、シニアにはそれを若手に伝える義務がある。