定年は「あったほうがよい」が過半、目立つ「再雇用者は実力で評価」
製造業では再雇用者などシニアの仕事量が減らないのに、給与が減ってモチベーションを下げている現状がある。再雇用者は何をモチベーションに働くのか、働き方はどうあるべきか、給与をどう考えるべきか─。『日経ものづくり』が実施したアンケート調査からは、そもそも定年退職制度が必要か否かという考え方の違いによって左右されると分かった。
「定年退職制度はあったほうがよいと思うか」と言う設問に対して、「必要と思う」「あってもよいと思う」(肯定的意見)が合わせて57.6%と過半を占めた。「あってもなくてもよい(どちらでもよい)」が16.9%、「なくてもよいと思う」「なくすべきだと思う」(否定的意見)が合わせて23.2%、「分からない」などが2.4%だった。
(日経XTECH 1月31日)
定年はあったほうがよいと思う人は57.6%で過半を占め、再雇用者は実力で評価すべきと考える人も多い。しかし、定年があったほうがよいと思っている人に限ると再雇用者は実力で評価すべきと考える人は46.7%となって半数に届いていない。つまり、「年齢と関係なく実力で仕事をすべきだ」という考えに立つならば、定年はなくていいことになるし、「年齢と関係なく実力で仕事をすべきだ」と考えないのであれば、定年はあったほうがよいという主張になるようだ。定年退職制度に肯定的な意見が過半を占めたのは、定年前の現役世代に対する人事制度が年齢と関係なく実力で評価する制度になっていない企業が多いからだとも言える。
今、日本企業の人事制度は、ジョブ型雇用を取り入れたり、初任給を上げたりと、より年功序列の色彩を薄めていく傾向にある。今後、従業員間の給与の差は大きくなることも想定されるが、それは、年齢ではなく、職務内容や職責や成果によって生まれるようになるだろう。定年はあったほうがよいと考える人が過半数を割り込む日は、そう遠くない。