AIが世界の雇用の4割に影響、不平等悪化の懸念も=IMF
国際通貨基金(IMF)は14日、人工知能(AI)が世界の全雇用の約40%に影響を与える見通しだとする最新の分析を発表した。クリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は、「多くの想定シナリオで、AIが全体の不平等を悪化させる可能性がある」と述べた。
(中略)
高所得で若い労働者ほど、AI導入後の賃金が不均衡に上昇する可能性がある半面、低所得者や高齢の労働者は遅れをとるだろうと、IMFは見ている。ゲオルギエヴァ氏は、「各国が網羅的な社会のセーフティーネットを構築し、立場の弱い労働者向けの再訓練プログラムを提供することが重要だ」と指摘。「そうすることで、AIをめぐる変化をより包括的に進め、人々の生計を守り、不平等を抑制することができる」。
(BBC NEWS JAPAN 1月15日)
産業革命によって、工業の機械化が進んだ時代、英国を始めとした先進国の労働者が仕事を奪われ、大きな社会問題となった。社会全体をマクロに見れば、技術革新は生産性を向上させ、経済成長を促すが、その中で、貧困化する層も一定数発生させる。交通機関が馬車から汽車や自動車に置き換わったとき、馬車に関連する産業は縮小し、失業者が生まれたが、その全てが鉄道や自動車といった成長産業に雇用されたわけではない。成長産業が雇用したのは比較的若い人で、高齢者の転職は不利だった。ただ、高齢者でも高所得で資産を多く持っていれば、鉄道や自動車会社の株を買うことが可能だ。成長産業の会社の株主になれば、自分で働かなくても株価上昇や配当金によって富を得ることができる。
同様のことが、今、AIに関して起きている。生成AIの普及によってAIで置き換えられる業務は飛躍的に拡大した。これによって経済全体は成長するが、失業者も生まれるだろう。若い人は新たな成長産業に雇用されるが高齢者は難しい。AI関連株やその他のハイテク株を買うという選択肢もあるが、一定の資産が必要だ。エヌビディアやマイクロソフトなど「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク大手7社に投資する投資信託は、過去1年で2倍以上に価格が上昇した。これに1千万円を投資すれば、1千万円の所得を得る計算だが、10万円の投資では、10万円のリターンに過ぎない。一般の高齢者としては、まず、時代に乗り遅れないよう、自らを磨くことが重要だ。