ミドル・シニア層、リスキリングの効果は?
パーソル総合研究所は2023年8月31日に「ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査」の結果を発表した。この調査は、産業能率大学の齊藤弘通研究室と連携して、35歳から64歳3万6537人を対象とした。それによると、仕事やキャリアに関する学び直し(リスキリング)についての考えを聞いた質問で、ミドル・シニアの就業者の70.1%は「何歳になっても学び続ける必要がある時代だ」と答え(「当てはまる」:17.9%、「やや当てはまる」:52.2%)、63.0%は「学び直しは将来のキャリアに役立つと思う」(「あてはまる」:12.4%、「ややあてはまる」:50.6%)となり、リスキリングへの意欲が高かった。
(中略)
学び直しをしていないミドル・シニアの正社員と同質のグループが、学び直ししていたと仮定し、学び直ししていない場合と個人年収の差を推定したところ、その結果は「3年以上学び直し実施」でプラス30万円、「1年以上学び直し実施」でプラス17万円、「学び直しの実施(期間の長さは限定しない)」でプラス12万円となった。
(J-CASTニュース 9月9日)
今年35歳になる人は昭和63年生まれ。昭和生まれは向学心が強いのか、「何歳になっても学び続ける必要がある時代だ」と答える人が多い。「学び直しは将来のキャリアに役立つと思う」人の方がやや少ないのは、将来のキャリアには役立たないかもしれないが、何歳になっても学び続ける必要があると考える人が一定程度いるということであり、この世代の向上心の高さが伺える。少数の向上心の高い層と多数の向上を諦めた層に二極分化しつつあるZ世代とは対照的だ。
この調査によると、リスキリングの期間と年収との間に正の相関関係が認められた。しかし、リスキリングの期間が長い人の方が年収が多いとしても、リスキリングの期間が長いことが年収が多い原因とは限らない。相関関係と因果関係は別の関係だ。真の原因は、むしろ、向上心の高さにあるのかもしれない。向上心の高い人は、リスキリングに熱心であるため学習期間は長くなり、仕事でもより良い成果を追求するため収入は高くなる傾向にある。何歳になっても必要なのは向上心だ。