NISA、シニアも味方に 老後資金作りキャッチアップ
2023年度税制改正の目玉となったのが、24年から大きく変わるNISA(少額投資非課税制度)だ。現在は非課税で投資できる期間に期限があるが、新しいNISAでは無期限となる。年間の投資枠が拡大し、売却しても非課税枠が復活する。こうした特徴はすでにある程度の貯蓄があるシニア世代にとっても使い勝手がよさそうだ。
(日本経済新聞 2月25日)
社会政策上は、NISAは、現役世代が老後資金を貯めるのを支援するための施策と位置づけられるが、現実には、若い世代よりもシニアの利用額の方が大きい。そもそも、金融資産の保有額が高齢者に偏っていることが、その原因だ。その意味では、「シニア世代にとっても使い勝手がよさそう」というより、シニアによりメリットがあると言える。
特に、非課税投資期間と運用期間が無期限になり、生涯で1800万円までの投資元本に対する利益が非課税となったことで、既に制限いっぱいまでNISAを購入してきたシニア層は、NISAでの購入を増やし、貯蓄から投資へのシフトを加速させるだろう。1800万円という上限は、老後資金として2000万円が必要という話からでてきた数字だと思われるが、今後のインフレ高進の状況によっては、将来、増額される可能性もある。足元の世界経済は、世界的なインフレの高止まりと金利の上昇によって、株、債券ともに厳しい環境にあるが、24年からは、回復の軌道に戻ることが期待される。長期的な視点に立って、NISAを使った投資を少しずつ積み上げていくには良い時期だ。