60代の賃金水準、福井県で初めての調査

働く高齢者が増える中、県商工会議所連合会が60代の人たちの賃金の水準を初めて調査した結果、50代後半の人たちの7割から8割ほどだったことがわかりました。
(中略)
年間の賃金が最も高かった世代は55歳から59歳で、大学・大学院卒の平均で639万3610円でした。一方、60歳から64歳の大学・大学院卒の平均は521万5787円で、50代後半の約8割でした。また、65歳から69歳の大学・大学院卒の平均は477万4704円で、約7割でした。
(NHK福井 2月9日)

60歳を過ぎると賃金が下がるのは全国的な傾向だが、その下がり方は地域によって若干異なる。一般に、大企業では、50代の賃金が高いため、60歳で定年を迎えた後の賃金の下落率が大きくなる。逆に、中小企業では、それほど下がらない。したがって、大企業が多い地域では、60歳以上の賃金はより大きく下がる傾向にある。また、平均の取り方も平均値に影響する。企業の平均とするか、従業員の平均とするかで、平均値は違う。たとえば、その地域に、6割に下がる従業員千人の大企業1社と8割に下がる従業員百人の中小企業1社の合計2社しかないという極端なケースでは、賃金の下落率の企業の平均は7割だが、従業員の平均は、大企業の従業員が中小企業に比べて10倍多いため、6.18割となる。

今回の福井県商工会議所連合会による調査の場合、比較的、中小企業が多く、企業の平均を集計しているため、高齢者の賃金の下落率は低めになっている。全国の勤労者の平均では、もう少し高い。地域での企業経営を考える上では、今回の調査は有意義だが、全国的な高齢化対策など社会政策を考えるためには、統計データの評価について考慮が必要だ。