シニアと休耕田に目覚めの活力、ニンニク栽培が生み出す地域活性策
京都府舞鶴市で休耕田(遊休農地)を利用し、高齢者や障害者らがニンニクを栽培する試みが進められている。収穫後のニンニクは健康食品に加工し出荷も計画。遊休農地の有効活用と雇用促進の一挙両得を図る狙いだ。取り組むのは、地元の住宅建築・リノベーション企業。〝畑違い〟の分野へのチャレンジには、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への熱い思いがある。
同市南西部の山間地にある上村地区。5千平方メートルの遊休農地がニンニクの栽培地だ。農作業にあたるのはファイン・住宅(同市)の社員ら5人。そのうち4人は70歳以上で、最高齢は82歳。かつて大工として働き転身した人たちなどだ。
(産経新聞 9月25日)
舞鶴市上村地区の他、石川県の小松市シルバー人材センターなど、ニンニクを栽培するシニア農園が増えている。ニンニク栽培は重労働が少なく、高齢者でも、農業未経験者でも取り組みやすい。また、韓国料理の人気もあり、需要も堅調だ。価格も比較的高い。
さらに、この記事で紹介されたファイン・住宅では、今後、ニンニクを利用した健康食品を作る作業所の開設も予定している。自ら、ニンニクの需要を生み出す事業を展開することで、農業から食品加工、流通販売に至る6次産業化を実現すれば、付加価値はさらに向上し、シニアの雇用機会も拡大するだろう。休耕田と地元のシニアの労働力を組み合わせ、競争力のある農産物を生産して6次産業化する。こうした取り組みが全国に広がれば、SDGsへの寄与にとどまらず、地域経済の活性化にも大きな影響を与えることができる。