シルバー人材センター、高齢者まかせの安全対策「限界」

シルバー人材センターから紹介された草刈り中に片目を失明した高齢男性が安全管理上の不備があるとして提訴、今年1月にセンターが和解金を支払っていたことが分かった。センターは会員と雇用関係がないため安全配慮義務がなく、提訴自体が異例。会員の高齢化で全国的に事故率が上がり重篤化の傾向もみられる中、長年あいまいにしてきた安全確保策の強化が課題に浮上している。
(東京新聞 9月18日)

草刈りや植栽の剪定は、シルバー人材センターが紹介する業務の中でも需要が多い。それだけに、多くのシルバー人材センターは、事前にセンターの職員が現場を確認するなど安全確保に留意している。また、原則として複数の会員を派遣し、一人で作業しないよう配慮する。

その中での今回の事故だが、和解に応じたということは、シルバー人材センターが何らかの過失を認めたことになる。法的には安全配慮義務がないシルバー人材センターがどこまで責任を負うべきかは判断が難しい。ただ、少なくとも、想定されるリスクについて、派遣される会員に伝えておくことは必要だ。リスク評価やそれに基づく安全対策については、各地のシルバー人材センターの枠を越えた全国的なノウハウの蓄積と共有が望まれる。