働く高齢者、21年に最多909万人 65~69歳は2人に1人
総務省が19日の「敬老の日」を前にまとめた2021年の65歳以上の就業者数は、20年に比べて6万人増の909万人だった。18年連続で増加し、過去最多を更新した。就業率は25.1%で、65~69歳に限れば50.3%と初めて5割を超えた。定年延長の広がりで高齢者が以前に比べて働きやすくなっているとともに、人手不足の現状も映し出している。
9月15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者人口は前年比6万人増の3627万人と過去最多だった。総人口に占める割合は前年から0.3ポイント上昇の29.1%で過去最高となった。
(日本経済新聞 9月18日)
毎年、敬老の日を前に総務省がまとめている65歳以上の就業者数、増加傾向が続いている。65歳以上の人口が前年比6万人増加する中で、就業者数が同じ6万人増となったので、就業率は上昇した。65歳を過ぎても働くことが普通の時代になっている。2021年は、まだ、新型コロナウイルスの感染拡大が危惧され、高齢者の就業意欲も十分に回復していない時期であったにも関わらず、就業率が増加したことは、高齢者の労働力への需要と供給がともに強いことを示している。
2022年は、新型コロナウイルスへの警戒が薄れ、観光や飲食などのサービス業を中心に経済再開が進んだため、高齢の就業者はさらに増加するだろう。物価の上昇が続く中、年金の支給額が減額されている高齢者としては、労働市場に戻らなければ生活が厳しいという事情もある。社会保障が充実していて高齢者の就業率が7.4%にとどまるドイツをうらやましいと思う向きもあるが、働くことは、高齢者本人にとっても、労働力不足に直面する日本経済にとってもメリットがあることだ。高齢の就業者数が例年よりも増加する今年は、高齢者の労働力の活用のあり方について考えるのに良い年となるに違いない。