シニアに受け入れられるユーザーインターフェースとは
中高年・シニアのデジタルツールの利用率は徐々に増加傾向にある。では、中高年・シニア世代に受け入れられるユーザーインターフェース(UI)とはどのようなものか。
(中略)
UIデザインにおいては、デザインから動作設計まで、さまざまな「はやりすたり」が生まれている。重要なのは、このはやりすたりのトレンドは、デジタルツールに慣れていることを前提としていることだ。言い換えると、ある程度のデジタルツールへの慣れや素養があることを前提にして、はやりすたりが生じているのである。これを踏まえると、シニア向けのUIデザインを進めるうえでトレンドを重要視することは、必ずしも有効な打ち手とはいえないのである。
(日本経済新聞 8月8日)
スマホアプリのようなデジタルツールにせよ、ファッションにせよ、デザインというものは流行のトレンドやユーザーの趣向に合わせて作るものだ。ただ、ファッションの場合は、ターゲット顧客を細かく分け、それぞれのセグメントのトレンドやニーズに合わせてデザインするため、10代向けの服と50代向けの服では、同じブランドであってもデザインは異なる。
一方、デジタルツールのUIは、一つだけ制作されるのが普通であるため、最も利用者の多い層に合わせてデザインされる。最も利用者の多い層とは、多くの場合、若くてデジタルの世界に慣れた世代だ。このため、デジタルツールはシニアにとって必ずしも使いやすいとは限らない。
ひとつのUIで、シニアも含めたどの顧客セグメントにも受け入れられるようにするのは無理がある。携帯電話にシニア向けやキッズ向けがあるように、ユーザーをいくつかのセグメントに分割して、それごとにデザインする方が使いやすいUIになる。デジタルツールのベンダーには、是非、努力してもらいたいところだ。