東京23区、家賃は地方の3倍 移住で老後資金の節約も
東京と他地域で大きな差があるのが家賃。東京都23区は横浜や大阪より同条件で4~5割は高く、地方都市の3倍近い例もある。どこに住むかは老後資金の計画などにも影響する。
(中略)
家賃水準が比較的低い青森、福井、大分各市と比べると、23区の家賃は実に3倍弱にもなる。横浜市、大阪市と比べても4~5割は高い。同調査で家賃を除く物価の差を調べると、やはり23区は高いが、大半の地方都市との差は数%の範囲にとどまる。
(日本経済新聞 8月20日)
東京23区の家賃が高いのは、需要が大きいのに供給に制約があるからだ。タワーマンションが増え、住宅の総床面積が多少増えても、23区の面積が増えない以上、供給には限りがある。一方、住宅需要は、リモートワークが一般化してきたとはいえ、夫婦共働き世帯を中心になお旺盛だ。価格が上昇してきたとはいえ、夫婦ともに大企業に勤める30代パワーカップルにとって、都心のタワーマンションは手の届かない物件ではない。今後、金利上昇が見込まれるとなれば、買うのは今だという意識も働く。加えて、円安に伴って増加している海外からの不動産投資も首都東京に集中しがちだ。
一方、退職し、子育ても終わったシニア世帯にとっては、都心に住み続ける理由はそれほど大きくない。買い物や通院に不便でなければ、23区内にこだわらない人は多いだろう。23区から他の地域に引っ越して、不動産価格や家賃の差額を生活費に使うことは、合理的な資産ポートフォリオの組み替えだ。住み慣れた街を離れることに抵抗を感じる人もいるが、今や、シニアもネットで世界とつながる時代。どこにいても、コミュニティーを作ることはできるし、仕事をすることもできる。