老後に海外で暮らすなら税・社会保険料、日本で発生も

「現地の人との交流が楽しく、日本に比べ生活費が安い国も多い」と神奈川県の浦恒雄さん(76)は話す。
(中略)
日本の税や社会保障の対象になるかは、日本で働いている、住所があるなどして生活の本拠があるかが目安となる。住民税(地方税)は1月1日時点で住民票があるなどすれば課税対象。海外に1年以上滞在するなら海外転出届を出す必要があり1月1日時点で生活の本拠がなければ納税義務はない。ただ居住国の税制や滞在期間によって現地で地方税が発生する場合もある。所得税も生活の本拠で判断する。日本に本拠があるなら国内で生じた所得に加え海外の所得も課税対象だ。本拠がなければ日本国内で生じた所得のみが日本で原則課税対象となり、居住国でも現地の所得税が発生する場合がある。
(日本経済新聞 7月24日)

足元では、歴史的な円安のため、現地での収入がなく、円資産と年金だけを頼りに、欧米先進国で暮らすのは厳しい。しかし、新興国であれば、日本よりも物価が低く、暮らしやすい国もある。特に、東南アジアは、「治安の良さに加え物価が比較的安い、日本に近い、気候が暖かいという『安・近・暖』が好まれている」ため、日本人シニアの人気が高い。

ただ、生活費だけでなく、税や社会保障費にも留意が必要だ。日本の年金にも滞在国が課税することがある。医療や介護などの社会保障制度も日本とは異なる。日本と滞在国、どちらを生活の拠点とするべきか、色々な角度から検討するべきだ。

さらに検討すべき点としては、現地での就労がある。現地の言葉が話せないと職業は限られるが、英語が話せれば、現地の外国人コミュニティー向けの仕事を得ることができる。あるいは、現地の日系企業で仕事を得る機会もある。折角、外国で老後を過ごすなら、現地で働き、地域社会との接点を広げてみるのも良い。