70歳までの就業機会確保は企業の26%、厚労省調査

厚生労働省は24日、高齢者の雇用状況に関する2021年の調査結果を公表した。70歳までの就業機会を確保するための措置を実施した企業の割合は25.6%にとどまった。規模別では人手不足感が強い中小企業の方が大企業よりも実施率が高かった。
(中略)
従業員数が301人以上の大企業は全体の17.8%、従業員数が21~300人の中小企業は26.2%で就業機会を確保する措置をとっていた。大企業が実施した措置の内訳は「継続雇用制度の導入」(16.6%)、「定年制の廃止」(0.6%)、「定年の引き上げ」(0.5%)、「創業支援等措置の導入」(0.1%)の順に多かった。
(日本経済新聞 6月24日)

70歳までの就業機会を確保した企業の割合は上昇してきたが、その内訳に大きな変化はない。従来から、高齢者の賃金が高い大企業よりも、年齢による賃金格差が小さい中小企業の方が、高齢者の雇用には積極的だ。また、大企業が実施した措置として、定年制の廃止や定年の引き上げは少なく、継続雇用制度の導入が多いのも、現状の制度を維持しながら導入しやすい措置を講じた結果といえ、従来の人事政策からの大きな変更に躊躇する大企業の姿勢が垣間見える。60歳定年制を維持し、60歳から65歳までに適用してきた継続雇用制度を70歳まで延長することで、70歳までの雇用機会確保に対応する大企業が多い。

ただ、大企業も、ジョブ型雇用の導入など既存の人事制度全体を改革しようという機運が高まっている。たとえば、終身雇用がなくなるのであれば、年齢に関わらず退職したり解雇されたりすることが普通となり、定年は意味をなさない。また、賃金の年功序列がなくなれば、高齢者の人件費は割高ではなくなる。長い目で見れば、大企業でも、定年の引き上げや廃止が増えていく可能性が高い。