介護保険料、65歳から重く 会社員の負担3~4倍増も
「介護保険料が4倍近くに増えるなんて」。東京都練馬区に住む男性会社員Aさんは今年4月に65歳になり、区役所から先日届いた「介護保険料納入通知書」をみて驚いた。金額が年11万7240円と記載され、これまで給与天引きだった約3万円から大幅に増えていたからだ。
介護保険制度は40歳以上から加入対象となり、保険料を納める必要がある。「65歳から金額が増え、会社員は3~4倍程度に跳ね上がるケースが珍しくない」と社会保険労務士の山本礼子氏は話す。被保険者の種別が第2号から第1号に切り替わり、計算方法や納め方が大きく変わるためだ。
(日本経済新聞 6月26日)
64歳までの第2号被保険者と65歳からの第1号被保険者では、介護保険料に大きな違いがあることを認識していない人は多い。特に、会社員の場合、第2号被保険者の保険料は、それほど高くないため、ほとんど気にならない。しかし、第1号被保険者になると、無視するには高すぎる金額になることがある。介護保険が相互補助という枠組みであるとすれば、介護対象者となり得る65歳以上の負担が大きいのは合理的だ。問題は、65歳になって実際に保険料が高くなるまで、それに気づかないことにある。
年金の受給額は現役時代から計算するが、介護保険の支払額の増加は老後資金の計算に含めていない人が多い。介護保険料は、地方自治体によって異なるが、夫婦二人の合計で年間20万円を越えることもある。高齢者に占める要介護者の割合は増加傾向にあり、今後、介護保険料の増額も予想される。老後の資金計画には、介護保険料の支払額も加味するべきだ。