高齢者、きしむ「終の棲家」 修繕費2割超上昇 単独世帯増、負担重く

高齢者が安心して住宅に住めなくなっている。持ち家の修繕費の負担は増え続けている。長寿化によって修繕回数が増え、工事単価も10年で2割上昇する二重苦の様相だ。賃貸住宅でもオーナーの約7割が高齢者の入居に拒否感を抱く。公的な支援で対応しきれない部分が多く、民間の取り組みを効率的に生かしていく工夫が欠かせない。
総務省の家計調査では、世帯主の年齢が60歳以上の二人以上世帯の持ち家率は2021年で90%を超える。多くの人が「終(つい)の棲家(すみか)」を確保しているようだが、落とし穴がある。
(日本経済新聞 6月5日)

高齢になって賃貸住宅に住み続けると家賃値上げのリスクが心配になる。家賃の安い住宅へ転居しようとしても、賃貸住宅の所有者は高齢者に貸したがらない。したがって、持ち家の方が将来安心ということになるが、持ち家の場合は修繕費の上昇が心配だ。今後、インフレが高進すると、資材費や人件費が高騰し、修繕工事の費用は今より上昇することが予想される。

この記事では、「高齢者と若い学生や子育て世代が暮らすシェアハウスの企画・開発を進める」不動産会社が紹介されている。シェアハウスの所有権をどうするのかという問題はあるものの、高齢者と若い世代が居住空間を共有することは、経済的にも精神的にも双方に利益がある。継続的な修繕費用の捻出も容易になるだろう。血縁で住居を共有することが難しくなった今、家族を越えた住まいのあり方も考えるべきときだ。