高齢者もスマホ親しんで 首都圏自治体が貸与や購入補助
デジタルデバイド(情報格差)を解消するため、インターネットやスマートフォンに不慣れな高齢者を減らす取り組みを首都圏の自治体が加速させている。スマホの貸し出しや購入費の補助で触れる機会を増やしている。生活や娯楽の情報を得やすくすることで暮らしの充実感を高め、行政のデジタル化の恩恵も受けられるようにする。
(日本経済新聞 3月28日)
現役時代にパソコンなどのIT機器を使い慣れていた団塊の世代が高齢者になるにつれ、高齢者のデジタルデバイドは解消の方向へ進んではいるが、まだ、ITに触れていない高齢者も一定数はいる。内閣府の調査によれば、70歳以上の過半数がスマートフォンを使っていない。ガラケーのサービス停止に伴って、高齢者のスマートフォン保有率は高くなってきたものの、50代以下の層とは大きな差がある。
行政サービスのIT化には、利用者のIT利用環境の整備が前提となるため、行政としては、スマートフォンの保有率を高めたいところだ。したがって、自治体がスマートフォンの貸与や購入補助に税金を投入することには、一定の合理性はある。ただ、貸与や購入補助のような費用負担の軽減を目的とした事業の効果は限定的だ。安くても使えないものは使わない。結局、元々、スマートフォンを購入するつもりだった一部の高齢者に税金をばらまくだけに終わる可能性もある。
スマートフォンの保有率と利用率を向上させるには、まず、高齢者でも簡単に使えるスマートフォンを提供するよう、端末メーカーや通信事業者と協力して利用環境の整備を進めなければならない。そのためには、自治体ではなく、国が主導的な役割を果たす必要がある。