走る「道の駅」高齢者のために出発、移動販売と農作物集荷兼ね
高齢化が進む松江市本庄地区の「道の駅本庄」(同市野原町)が、自力での買い物や農産物出荷が難しい高齢者のために、移動販売と農産物集荷の新事業を始める。この地で誕生したとの言い伝えがある弁慶のイラストをあしらった軽トラック「ほんじょー号」が11日、出発する。(中略)道の駅を運営する道の駅本庄企業組合は、中山間地域の雇用創出などを目的とした県の「スモール・ビジネス育成支援事業」を活用し、移動販売車を購入した。地区内11カ所を週2回訪ね、食品や生活雑貨約100点を販売し、道の駅に並べるための農産物を集荷する。3月末まではニーズ調査も行い、地区外での運行を視野に入れている。
(毎日新聞2月11日)
各地で地域経済活性化の拠点としての役割を担うようになってきた道の駅だが、松江市の「道の駅本庄」は動く道の駅として活動の幅をさらに拡げた。食品スーパーが宅配サービスを行うネットスーパーと似てはいるが、実物の商品を見て買い物をする移動販売は、高齢者に買い物の楽しさを届けることができる。また、道の駅で売る農産物の集荷も同時に行うことで、高齢化が進む地域農業の支援にもつながる。地元住民とこれまで道の駅がターゲット顧客としてきた観光客とでは、ニーズが異なることもある。しかし、減少する個人商店の供給力を補完し、地域の高齢者の利便性を向上させるためには、品揃えを土産物だけでなく日用品にまで拡充するのは一つの選択肢だ。道の駅は、観光客と地元民をつなぐだけでなく、移動販売によって地元民同士もつなぐハブになり、地域の経済と雇用の創出の核となる可能性を秘めている。「ほんじょー号」の今後の活躍に期待したい。