50代対象の求人は増加傾向、「70歳雇用確保努力義務」は半数が対応進まず

エン・ジャパンが運営する求人情報サイト「ミドルの転職」は2022年1月31日、「定年延長によるミドル・シニアの活用」についてのアンケート調査結果を発表した。同調査の対象者は「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントで、199人から回答が寄せられた。
まず、「直近、50代を対象とした求人は増えていると感じますか」と尋ねたところ、「増えている」と43%が回答した。「増えている」と回答した人に、求人が増えていると感じる企業タイプを尋ねた。その結果、1位は「中小企業」(76%)、2位は「大手企業」と「ベンチャー企業」(ともに35%)だった。2019年に実施した前回調査と比較すると、「大手企業」の回答割合が26%から35%へと9ポイント増加している。

(MONOist 2月10日)

このアンケートは、企業ではなく転職コンサルタントを対象に行われたため、50代対象の求人が増加しているという回答の割合が直ちに増加させている企業の割合ではないことに留意が必要だが、マクロなトレンドを表した調査結果ではある。元々、50代以上の雇用は流動性が低いため、少しの増加でも目立つという点を差し引いたとしても、大企業での求人の増加は顕著だ。今まで、中小企業に比べて年功序列の傾向が強かった大企業が、本格的に年齢によらない成果主義へ転換していることが求人動向に影響している。

一方、70歳雇用確保努力義務への対応は遅れているという調査結果だが、完全な成果主義に転換すれば、70歳雇用確保への対応は自ずと達成できる。現在はその途上にあるということだろう。

ただ、大企業によっては、ジョブ型雇用への転換を標榜しながら未だに年齢によって希望退職を募集しているところもある。ジョブ型雇用するなら、高齢の従業員もジョブに見合った待遇にすればよく、退職させる必要はないはずだが、これもまた、過渡期故の現象なのかもしれない。