中国でシニア向けSNS「紅松」が好調 定年後の孤独解消

中国のシニア向けSNS(交流サイト)「紅松(HONGSONG)」を運営する北京紅松在綫科技がこのほど、シリーズA+で1億㌦(約113億円)近くを調達した。
(中略)
紅松は、中国の定年後のシニアに趣味を通じた交流の場を提供している。カテゴリーは声楽や楽器演奏、書道、絵画、ダンス、朗読、健康、デジタル、英語、旅行など数百種類に上る。各コミュニティーは「小站」と呼ばれる単位で運営され、全国各地から集まる専門家の指導をオンラインで受けられるだけでなく、共通の趣味を持つ友だちづくりもできる。

(日本経済新聞 1月27日)

中国では、既存のIT大手は習近平政権からの締め付けで厳しい局面を迎えているが、シニア向けSNSは好調だ。日本でもフェイスブックは利用者の年齢が比較的高いように、中国でも、趣味のコミュニティーを形成しやすいSNSは、高齢者に人気を博している。政治的な思想に基づくコミュニティーではないだけに、中国当局の規制もかかりにくい。

紅松の特徴は、コミュニティー別にリーダーを置いて、運営を任せている点だ。利用者が自主的に何でもできる米国のソーシャルメディアとは異なり、リーダーを介してコミュニティーの動きを管理している。そういう意味では、市民が自由に発信できるソーシャルメディアの概念とは相容れないメディアなのかもしれない。

しかし、制約はあるとはいえ、高齢者が互いに交流しやすい場をネット上で提供していることは、高齢者が孤独を脱して新たな人間関係を構築するのに役立っている。ライブ配信を多用して、リアルな場で話しているような世界観を実現しているのも高齢者に好評だ。中国以外の国でも高齢者の利用が広がる可能性はある。