高齢化が進むインドやアメリカは日本の高齢者ケアをお手本にすべし
高齢化する社会にどのように対処していくかという問題は、高齢化率が比較的高い日本のみならず世界的に注目されています。科学ジャーナルのNatureが日本とインドという高齢化率の高い国を参考に、高齢化社会の問題点などを論じています。
(中略)
日本の労働市場にかかる苦境は終わっていません。より多くの女性を雇用することで労働力を確保したにもかかわらず、全国の労働者人口の予測は2040年までに、2017年から20%減の5300万人になると予測されています。その結果、介護保険の費用を誰がどのように負担するのかといった新たな課題が出てくるとNatureは指摘しました。
(Gigazine 1月24日)
Natureの記事は、インドを家族による介護、日本を施設と在宅を包含した介護保険制度に基づく社会による介護の例として取り上げている。インドのような家庭での介護は、介護を担う女性が外で働く機会を奪い、経済の足かせになっていると指摘し、日本のように社会で介護するシステムの方が、合理的であるとの論調だ。
ただ、Natureも介護保険の費用の負担のあり方が課題となると指摘しているように、日本の介護保険制度の持続可能性も危うい。家庭での介護負担が軽減されて、介護していた人が外で働くようになり、労働参加率が向上したとしても、その人が家庭外で生み出す付加価値が、それまで家庭内で行っていた介護の付加価値を超えるとは限らない。外で時給千円の仕事を得るために、時給千円以上の費用のかかる介護サービスが必要になるなら、社会全体としては、コスト高となる。介護制度を持続させるには、誰が費用を負担するかを議論するだけではなく、要介護者の満足度を維持しながら介護サービスの生産性を向上させ、介護の費用対効果を高めることが重要だ。