高齢者の転倒問題に挑む、魔法の床「ころやわ」
人は必ず歳を取る。「加齢」は自然の摂理であり、誰にも避けられないものだ。
(中略)
Magic Shieldsが開発したのは『ころやわ』という衝撃を吸収するクッション材を含んだ床である。現在は医療機関や介護施設を対象に販売を行っている。これは一言で言えば「緊急時だけ柔らかくなる床」である。普段はまるでフローリング材のように固く、普通に歩く分にはまったく違和感を感じない。「従来型のマットは普段から柔らかいせいで、足を取られてしまいます。しかし、『ころやわ』は転倒時にだけ柔らかくなる仕組みです」
(@DIME 1月24日)
「ころやわ」が実現した「普段はまるでフローリング材のように固く」、「転倒時にだけ柔らかくなる仕組み」というのは画期的だ。高齢者向けに転倒を防止する機器は沢山あるが、転倒しても怪我をしないようにするという発想は新しい。転倒防止機器は、設置環境が限定されるので、市場は細分化されている。一方、転倒時にだけ柔らかくなる床材は汎用性が高く、その市場は大きい。
たとえば、現在販売対象としている医療機関や介護施設では、各種の転用防止機器が設置され、看護師や介護士が付き添うことも多いので、バランスを崩しても転倒に至ることはまれだ。むしろ、自宅で在宅介護をしている家庭の方が高齢者の転倒リスクは高い。介護保険の適用対象となれば、住宅での「ころやわ」の需要は大きく増加するだろう。
同様に、工場や倉庫のように移動が多い職場でも、高齢の従業員の転倒は比較的発生しやすく、労働災害に至るケースも珍しくない。こうした現場にも転倒時にだけ柔らかくなる床材が普及すれば、高齢者の作業環境の改善に役立ち、ひいては高齢者の雇用機会の拡大にも寄与することになる。