ひっ迫する高齢化問題、増加する社会保障費は「本人負担」
日本は世界有数の長寿国ですが、少子高齢化の結果、現役世代の負担が急激に増加しています。このまま増え続ける社会保障費は、誰が負担するのでしょうか。
(中略)
国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費国際比較基礎データ」によると、米国、フランス、ドイツ、英国、スウェーデン、日本の6ヵ国で社会保障に対する国庫支出を、対 GDP比でみてみると、5ヵ国はこの30年ほどで平均5.9%から7.8%に増加。それに対して日本は4.1%から3.4%に減少しています。
(幻冬舎ゴールドオンライン 1月4日)
少子高齢化は世界共通の課題だが、置かれている状況は、それぞれの国によって異なる。米国、フランスなどは、高齢者の増加に伴って国庫支出を増加する局面にあるが、日本の場合は、既に、高齢化が高水準にまで進み、財政赤字のGDPに対する比率は先進国で突出している状況だ。さらなる高齢化による社会保障費の自然増を抑制しなければ、日本の財政はプライマリーバランスの達成どころか破綻する。したがって、日本の社会保障に対する国庫支出のGDP比が減少しているのはやむを得ない。国の負担比率が減れば、相対的に国民、特に、現役世代の負担が大きくなる。
この傾向に歯止めをかけるには、欧米と同等レベルに消費税を増税して新たな財源を確保するのが常道だが、日本国内でのコンセンサスはすぐに取れそうもない。そうだとすると、経済成長率を向上させて、GDPを増加させ、国民の所得と国の税収の増加を図ることが重要になる。生産性の低い産業の保護に税金を使うのではなく、将来成長が見込まれる産業セクターの振興に国庫支出を集中させ、そこでの競争力の強化と雇用の拡大を推進しなければならない。