「しごとコンビニ」仕事細かく分解し登録者に振り分け

「短い時間なら働けるのに」「週に何日も勤務するのは無理」…。そんな人たちと、人手が欲しい職場をつなぐ「しごとコンビニ」という取り組みが、中国地方で広がりつつある。仕事を細かく「分解」するのが特徴で、雇用契約を結ぶパートやアルバイトより自由度が高く、子育て中の人や高齢者も働きやすいという。
(中略)
しごとえんに登録する住民は20~90代の約250人。雇用契約を結ぶのではなく、しごとえんが地元の企業や行政、個人事業主から業務委託を受け、登録者に仕事を「分解」して再委託するという。例えば農作業なら、作物の収穫や、皮むきといった加工などに仕事を細分化する。
(中国新聞 12月20日)

社会の労働参加率を向上させるには、働き方の多様化が必要だ。育児や介護に時間を割かなければならない人や高齢者の中には、時間と業務が限定されていれば働きたいと思っている人は多い。こうした潜在的な労働力が労働市場に参加するには、時間と業務が限定されていても働ける環境を整備する必要がある。「しごとコンビニ」が行っている仕事の細分化は、ひとつの仕事を多くの人で分担して遂行することを可能にし、担当者一人一人の時間と業務内容を狭めることにつながる。

もともと、建設業界やIT業界の元請け会社は、この仕事の分解と再委託を行ってきた。ただ、従来の大企業のやり方だと、営業活動や仕事の分解・再委託のコストは大きく、規模の大きな案件でないと利益はでない。これに対して「しごとコンビニ」は、地域の中で働きたい人や仕事を頼みたい人を募り、LINEを使って情報共有して、効率的に仕事の受注と分解、再委託を行うことで、小さな仕事でも事業として成り立つ環境を構築した。こうした取り組みが広がれば、家庭内に留まっていた潜在的な労働力が、家庭を出て地域の中で顕在化し、多くの仕事と雇用を生むことになるだろう。