雇用保険マルチジョブホルダー制度スタート

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」とは、複数の事務所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち二つの事務所での勤務について要件を満たした場合、本人からハローワークに申し出を行うことで、申し出た日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。2022年1月1日にスタートします。
(日本の人事部 12月13日)

雇用保険のマルチホルダー制度が始まった。二つの事業所の労働時間が合計で週20時間以上であれば、雇用保険の被保険者となることができる。パートタイムの仕事を掛け持ちしている高齢の労働者にとっては朗報だ。高齢者はパートタイムの非正規雇用が多いという現実を踏まえれば、副業、兼業に対する雇用保険のカバー範囲の拡大は、高齢者の生活の安定につながる。

ただ、雇用する側の企業にとっては、負担が増えることになり、高齢者の採用に慎重になる企業も出てくることも考えられる。企業は、雇用保険の申し出があったことを理由に、解雇や労働条件の不利益変更といった不利益な取り扱いを行うことは法律上禁じられているが、雇用保険の対象となる人を採用しないことはできる。

こうした問題を回避するには、労働時間の条件を大幅に緩和することが有効だ。たとえば、現行制度の週20時間以上という条件を週5時間以上に短縮すれば、ほとんどのパートタイムの仕事は雇用保険の対象となる。複数の事業所の労働時間を加算する必要もない。副業や兼業が高齢者に限らず、全ての世代で一般化してくれば、恐らく、制度改正はその方向に向かうだろう。