公的年金限界、万国の悩み 若者急減で老後資金は自助に
戦後の1950年、世界の平均寿命は男性45.4歳、女性48.4歳だった。2060年予測は男性76.2歳、女性80.6歳と30年余り延びる。長くなる老後を誰が支えるのか。世界の備えはあまりに心もとない。
(中略)
老後危機克服へのヒントはオランダにある。平均寿命が延びると、年金を受け取る年齢も自動的に上がる仕組みを採り入れ、少子高齢化の影響を和らげてきた。「世界で最も安定した制度」との評価に安住せず、低金利時代に対応すべく企業年金改革も急ぐ。
(日本経済新聞 12月6日)
高齢化は世界中の先進国で進んでいる。その結果、どの国も公的年金の限界が見え始めた。その中で、この記事が紹介しているオランダは、平均寿命と年金の受給開始年齢を自動的に連動させる制度を導入して年金財政の持続性を維持しようとしている点でユニークだ。民主主義国家では、受給開始年齢の引き上げは世論の反発を招き、実現が難しい。ポピュリズムに傾く政治家は、財政が逼迫していても国民に痛みを伴う政策には反対するものだ。
オランダは、さらに、年金を確定拠出型に移行する予定だ。確定拠出型は、拠出された資金の運用益次第で給付額が変動し、拠出金は変動しないので、国の年金財政は安定する。日本では、企業年金では確定拠出型が増えてきたが、公的年金では現役世代が高齢世代を支える世代間扶養を前提に年金給付額が決まっている確定給付型だ。世界でも最も少子高齢化が進む日本では、オランダ以上に世代間扶養は限界に近づいている。早晩、日本も確定拠出型への以降を余儀なくされるかもしれない。