今やYouTubeに投稿する「ユーチューバー」は、若い世代だけではない。シニア層も進出し、独自の視点で動画を公開している。
（中略）
60代主婦の女性が運営する「すみちゃんねる」は、穏やかな眼差しでささやかな日常を切り取る動画で人気だ。女性は、YouTubeを始めた当初、「家族が見てくれればいいと思っていた」と話す。
（中略）
すみちゃんねるの魅力は、その飾り気のなさだ。シーツを洗った、冷やし中華を始めた、区役所の帰りに花を買った……。日常の一コマを慈しむ姿は、自然と見る者の気持ちをほっこりさせる。
（AERA dot.　10月19日）

スマートフォンがシニア層にも普及し、日常的に動画サイトを視聴するシニアは増えている。それに伴い、動画を発信するシニアも増えてきた。「すみちゃんねる」もそのひとつだ。チャンネル登録者は12,000人を超え、視聴回数は常時1万回以上、ときには10万回を超えることもある。社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本の100人のユーチューバーであるHumans of YouTubeの一人として、Googleから選出されてもいる。コンテンツは、日常の生活から切り出した断片を会話や音楽と共に編集した10分程度の動画だ。シニアらしい落ち着いた時の流れが同世代の視聴者に支持されてきた。

「すみちゃんねる」の魅力は、動画が伝えるメッセージの内容だけでなく、メッセージの伝え方にもある。カメラアングルやカット割り、BGM、会話などを含めた動画の撮影・編集スキルが高い。それだけに、誰でもこのクオリティーをすぐに実現できるわけではないが、こうした質の高い動画を多くのシニアが視聴することで、シニアが発信する動画コンテンツの質の向上が期待できる。シニアのネット動画の世界も若者と同様、制作と視聴の好循環が始まったようだ。