早期定年の大前提 不惑でも「学び直し」が生きる道
物議を醸している「45歳定年」。この議論には「会社を辞めた後に、新生活に向けて『改めて働く』ためのスキルをどう身につけるか」というリスキリング(学び直し)の観点が不可欠だ。
ただ、リスキリングに対する認知度は高いとは言えない。人材紹介・転職支援サービスを手掛けるワークポート(東京・品川)が8~9月に実施した調査によると、回答者の71%がリスキリングという言葉を「知らない」と答えた。
(日本経済新聞 10月12日)
リスキニングという言葉は、日本では、最近使われ始めたために、知らない人も多いが、新たな仕事に挑戦するために「学び直し」が必要だという認識は、多くの人が持っている。問題は、どんな学び直しをどのように行うのかという点だ。
資格を取得するなど目標が明確な場合は、学ぶべきこともはっきりしているが、やりたいことが漠然としている場合は、具体的に何を学べばよいのか分からないこともある。採用する企業の側も、求人票の求めるスキルに記載している内容は、抽象的な表現に終始していることも多い。これでは、求職者はどのようなスキルが求められているのか良く分からない。また、学ぶ方法についても、欧米と違って、大学が社会の実務で即役立つ教育を提供しているとも限らないので、どのように学べば良いか悩むことになる。
このような事態を打開するには、まず、仕事とそれに必要なスキルのマッピングを日本社会の中で共有する必要がある。社会の中で共通認識があれば、希望する仕事に就くために何を学べばよいかが多くの人々に明確になるだろう。そうなれば、教育需要は増え、リスキリングを支援する教育機関は自ずと育つ。国がリスキリングに補助金を支給するというような政策だけでは不十分だ。