進む介護職の高齢化 訪問介護員の4人に1人が65歳以上
公益財団法人介護労働安定センターは8月23日、2020年度に実施した「介護労働実態調査」の結果を公表した。これによると、介護労働者における高齢化は年々進んでおり、全体の23.8%が60歳を超えている結果となった。
60歳以上の介護労働者の推移をみると、年々増加傾向にある。平均年齢も年々上昇しており、今回は49.9歳と、前年より0.6歳上昇している。
(高齢者住宅新聞 10月12日)
今までは、家庭では高齢者が高齢者の介護を行う老々介護は珍しくないものの、介護労働者は比較的若かった。しかし、今や、介護施設の職員や訪問介護員でも、人手不足を背景に高齢化が進んでいる。
この現状を、介護の仕事が若い世代から敬遠されている結果だと捉えることもできるし、介護業界は高齢者の雇用機会の拡大に貢献していると評価することもできる。今後、介護労働者の不足が長期化することを考えれば、恐らく、どちらの視点も重要だ。介護労働者の待遇を改善し、若い世代にとって魅力のある職場作りをする必要があるし、高齢の介護労働者が働き易い人事制度や労働環境の整備も求められる。
政府が打ち出した介護労働者の給与引き上げは、待遇改善に一定の効果はあると思われるが、より大きな効果があるのは、介護サービスの自由化だ。たとえば、訪問介護員が介護保険のサービス以外の仕事を自由に要介護者と契約して有償で行うことができれば、訪問介護員の収入は増えるし、要介護者の満足度も上がる。要介護者にとっては、年齢の近い高齢の訪問介護員が世間話の相手になってくれるだけで、心が癒やされ報酬を支払う価値を感じることもある。官製の介護保険によるサービスと自由な介護サービスを混合して提供できるよう制度を見直すべきだ。