シカゴのテック企業「高齢者を雇います」…シリコンバレーの年齢差別問題が再燃
「高齢者を採用する」という求人広告が、テック業界における年齢差別についての議論を復活させた。
(中略)
シカゴに拠点を置くスタートアップ企業、RelevantDBのシニアソフトウェア開発者の求人広告には、「シリコンバレーとは違い、我々は年齢による差別をしない」と書かれている。
(中略)
クリーブランドは、2021年初めにFacebookの開発者に応募して不採用になった後、RelevantDBを立ち上げ、同社が「フェイスブックの仕事よりもずっと多くのお金を生み出すことができる」と信じているという。
(BUSINESS INSIDER 9月16日)
高齢になるほど就職が不利になるのは、日本に限った話ではない。年功序列のない米国でも、職業によっては、高齢者の就職は厳しい。その典型が、この記事で紹介されているIT技術者だ。
日本でも、30年以上前から、IT技術者の定年は35歳であり、IT技術者は、35歳を過ぎると、管理職になるか、間接部門へ異動すると言われてきた。まして、IT企業が高齢の技術者を新規に採用することは、ほとんどない。多くのIT企業は、逆に、高齢の従業員に早期退職を求めて、若い技術者の採用を増やしている。ITの進化が他の分野に比べて早く、古い技術の陳腐化が著しいことを考えれば、こうした人事方針は合理的にも思える。
しかし、最新のITを追求し、それを事業に結びつけて、事業上の成果を上げるというプロセスは、今も昔もそれほど変わらない。そして、その事業プロセスを効率的かつ効果的に運用するノウハウには、時を越えた普遍性もある。RelevantDBの創設者であるクリーブランド氏には、おそらく、このノウハウがあったのだろう。ただ、彼を不採用にしたFacebookの人事担当者は、IT開発職は高齢者には向かないという先入観に囚われて、その才能を見出すことができなかった。自社の事業にとって必要な才能とは何なのか、年齢にまつわる先入観を捨て、考えることが重要だ。