シニア世代が「早期退職してもよい」と思える割増金額は?
2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、「70歳までの就業確保」が事業主の努力義務となった。25年には「65歳への定年引上げ」が全企業へ適応される見込みとなっている。サイボウズチームワーク総研が9月2日に発表した調査結果では、シニア世代が「辞めてもよい」と思える早期退職割増金額や職場でのコミュニケーション状況などが明らかになった。
(中略)
早期退職の割り増し分がいくらであれば辞めてもよいかを聞いたところ、「501万~1000万円」が16%、「1001万~1500万円」が13%。最も多かったのは「お金では辞めない」で約2割だった。
(ITmedia 9月2日)
辞めてもよいと思う早期退職の割り増し分は、1千万円前後だ。501~1500万円で29%となる。実際、この金額で早期退職に応じている人は多い。企業としても、年収の1~2年分の割増金は、出しても損はしない額だ。現在の相場観を表したアンケート結果と言える。
一方で、いくら割増金を積まれても辞めたくない人もいる。転職先がすぐには見つからないとか、転職できても収入が減少するなど、理由は様々だと思われるが、総じて退職後の人生が見通せない不確実性をリスクと感じているようだ。
企業は、早期退職者に対して、転職サービスの斡旋など就業支援を提供することは多い。しかし、現役世代に対しては、社内で活躍することを前提とした教育を行っているだけの場合がほとんどだ。一般の社内教育も、既存の社内の仕事に囚われず、広く社外での仕事も視野に入れたものにすれば、退職時に先を見通すことにできるようになり、将来にリスクを感じる人は減るのかもしれない。同時に、そうした教育を受けた従業員は、企業が新規事業に進出するときの人材にもなる。企業を取り巻く外部環境が激しく変動する今、社内教育のあり方を考え直すのも良いことだ。