ユニバーサル就労 富士で支援相談急増 柔軟な働き方の創出を

富士市の働きたくても働けない事情を抱えた人の就労を支援する「ユニバーサル就労支援センター」への相談が急増している。2020年の新規相談者が前年の3倍を超えた。
(中略)
 富士市は、高齢やひきこもり、家庭環境、言語などさまざまな理由で就労できない人への支援を目的に17年、ユニバーサル就労推進条例を全国で初めて施行した。市の福祉保健施設「フィランセ」内に同年開設されたセンターでは、常駐の支援員が面談で希望の仕事内容を考え、企業見学や仕事体験などの段階を踏んで就労の決断を後押ししている。
(静岡新聞 8月29日)

ユニバーサル就労のユニバーサルとは、ユニバーサルデザインのユニバーサルと同様、「どのような人でも当てはまる」というような意味だ。ユニバーサル就労は、様々な理由で働きづらい状況にある人でも就労できることを目指している。

働く意思があっても働けない理由は人によって様々だ。障害があって働けない人もいるが、障害がなくても、コミュニケーションが苦手で仕事が長続きしない人もいる。そのような場合、福祉的就労の対象にならず、なかなか公的な支援は受けづらい。また、集中力が途切れがちで、長時間に渡って生産性を維持するのが難しい人もいる。そのような人は、最低賃金での雇用も厳しい。最低賃金が引き上げられたり、業績が悪化したりすると、解雇される可能性もある。

こうした様々な事情を抱える人々をすべて受け入れて支援するユニバーサル就労は、今まで支援の手が差し伸べられなかった人達に社会参画の機会を提供するのに貢献している。支援対象者一人一人に個別の支援を行うために、手間がかかるのは事実だが、支援事例が蓄積されれば、効率も効果も上がる。全国に、この活動が拡大していくことを期待したい。