シニア外出消費が急回復、ワクチン接種進み

シニア消費が急回復している。家計簿アプリのデータで65歳以上の消費者の支出動向を調べたところ、6月末の交際費は6月初旬と比べ9割増えた。美容・衣服も4割のプラスと、外出に関する項目で伸びが目立つ。ワクチン接種の進展が新型コロナウイルスへの警戒心を緩ませている構図だ。
(日本経済新聞 7月8日)

65歳以上の高齢者へのワクチン接種が進み、アクティブに活動するシニアが増えている。銀座や梅田の百貨店では、元々顧客層が高齢ということもあり、シニアで混雑している光景が戻ってきた。夏の旅行もシニアを中心に昨年に比べて大幅増だ。今まで、抑制されてきた消費が、反動によるリベンジ消費で急速に盛り上がっている。

ただ、感染力の強いデルタ株の浸透により、百貨店でもクラスターが多発するようになってきた。特に、人が集まるデパ地下では、クラスターが発生しやすい。また、ワクチン接種を2回してもなお感染する、いわゆる、ブレークスルー感染も、無視できない程度、発生している。重症者の割合は、ワクチンを接種していない40~50代が多いが、絶対数では60代以上の高齢者も確実に増加してきた。

こうなると、シニア消費も再び抑制される可能性がある。新たな変異株が生まれ続ける中で、感染爆発を避けながら消費を回復させるには、3回目以降の継続的なワクチン接種と感染リスクの低い人たちだけが集まる消費空間を作ることが重要だ。その空間の中では、シニアでも安全な雇用環境も提供されるだろう。欧米は既に、ワクチンパスポートなどを活用して、そうした空間作りを始めている。日本も法制度を整備して、早急に推進すべきだ。