シニアの住まい多様化 孤立避けシェア生活
今春、東京都江戸川区に1軒のシェアハウスが誕生した。物件名は「フローラ西一之江」。宣伝文句を読む限り、最近若者に定着したシェアハウス……かと思いきや、入居者の顔ぶれがちょっと独特だ。現在の住人3人は60~70代の女性。希望者に求人を紹介する仕組みも備え、全国初の「仕事付き高齢者住宅」をうたう。
区の空き家対策事業を活用し、6LDKの2階建て住宅をリフォームした。2階の4室をそれぞれ入居者の部屋に充て、リビングや台所、風呂などは共用だ。具体的な年齢条件は設けていないが、働きながら自活する60~70代の女性を想定しているという。
(日本経済新聞 7月4日)
遠くの親戚より、近くの他人の方が頼りになる。ただ、そうは言っても介護が必要になると一人では不便だ。介護施設に入るという選択肢もあるが、施設では、知らない者同士の協同生活で、仲良くなれるかどうかは定かではない。そんなとき、気心の知れた友人同士が同じ家に住むシェアハウスは、他人が家族になる場として役に立つ。シェアハウスは、若者よりも、むしろ、高齢者に向いた住み方なのかもしれない。
この記事に紹介されているシェアハウスが求人を紹介する「仕事付き」なのはユニークな点だが、こうした高齢者向けシェアハウスが増えてくると、高齢者シェアハウス向けの介護サービスや家事支援サービスなど、新たな雇用も生まれてくる。シェアハウスの住人が同居人の支援だけでなく、近隣にある他のシェアハウスの住人の支援も行うようになり、地域のシェアハウス間で仕事の流通が始まる可能性もある。