ソーラーシェアリング用地で薬用ニンジン栽培、高齢者雇用の受け皿
国内最大級のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を手掛ける水杜の郷(茨城県)は、太陽光パネルの直下で薬用作物(生薬)の高麗ニンジンとセイヨウニンジンを栽培している。
(中略)
栽培に当たっては、地権者20人が常勤し、シーズンにはシルバー人材1500人以上を動員するなど地元高齢者雇用の受け皿にもなっている。
(日本食糧新聞 6月14日)
太陽光パネルの下を利用した農作物の栽培が各地で行われている。元々耕作放棄地であったところに太陽光パネルを設置する場合は、その土地で農業を行うハードルは高くない。ただ、日当たりは悪くなるため、栽培する作物の選択には工夫がいる。
高麗ニンジンは、涼しくて乾燥した気候が栽培に適しており、通常は直射日光を避けるためニンジン小屋の中で栽培する。太陽光パネルの下では、それに近い環境が容易に作れるので効率的だ。しかし、最も薬用効果が高いとされる6年根の高麗ニンジンは、土壌作りの期間を含めれば6年以上かかるため、投資の回収までに要する時間は長い。水杜の郷が行っているように、セイヨウニンジンなど他の作物と組み合わせて、キャッシュフローを楽にすることも事業としては重要だ。
高麗ニンジンの栽培は、地域の雇用拡大にも寄与する。他の農作物に比べて手間がかかる分、雇用は増える。人件費は高くなるが、商品単価も高いため採算は合う。農作業も軽いものが多く、高齢者でも可能だ。地域の高齢者にとっては、毎年、定期的に雇用の場が提供されることになり、安定した収入源となるだろう。