シニアの再雇用「同じ業務」で収入が4割減

2021年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行で職場の高齢化が進むなか、増える再雇用者の働き方を調査したところ、再雇用前とほぼ同じ業務に就きながらも収入が4割下がるなど、モチベーションの低下につながる実態が明らかになった。企業の人事課題を研究するパーソル総合研究所が5月28日に発表した。
(中略)
年収は、全体で平均44.3%の低下。また、50%程度(半減)下がった人は22.5%、50%超下がった人は27.6%で、約5割の再雇用者の年収が半分以下に減っていた。定年前とほとんど変わらない人は8%、定年前より上がった人は2.2%だった。
(JCAST 6月8日)

定年を延長した企業では、60歳を過ぎても給与はそれほど極端には減らない。一方、再雇用の場合は、給与が下がることが多い。今回の調査では約9割の再雇用者が「年収が減少した」と回答している。そもそも、給与を下げることを前提として再雇用制度を導入している企業も多いことを考えれば、これは当然の結果なのかもしれない。

年収が下がったとしても、それが、シニア従業員が企業に提供する価値の低下に見合っているなら合理的だ。しかし、「再雇用前とほぼ同じ業務に就きながらも収入が4割下がる」ケースが少なくない。この調査では、再雇用者全体の55.0%が「(定年前と)ほぼ同様の業務」と回答し、それらの人々は平均39.3%年収が低下していた。定年前の給与が高すぎるのか、再雇用の給与が低すぎるのかという問題はあるが、定年の前後で極端に給与に差があることは、合理性に欠け、従業員のモチベーションの低下につながる。年齢ではなく、業務内容と成果によって給与水準を決めるよう人事制度を見直すべきだ。