コロナ禍はシニアの雇用にどんな影響を与えたか?

超高齢化社会に向けて、多くの企業で進められていた「高齢者雇用」だが、この度のコロナ禍を受けて、シニアの労働市場における需要と供給のバランスはどのように変化したのだろうか? リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター(JBRC)』がこのほど、調査レポート「シニア雇用への新型コロナウイルスの影響<個人編・企業編>」をまとめた。
(中略)
就業意欲への影響
「強まった」または「やや強まった」との回答が計9.5%、「弱まった」「やや弱まった」との回答が計21.0%となった。
(@DIME 5月30日)

コロナ禍によって、シニアの就業意欲は総じて低下している。このアンケートによると、就業意欲が弱まった理由として最も多いのは、「感染予防のために外に出ることを減らそうと思った」で、66.3%に上る。重症化リスクが高いとされているシニアの中に、命を危険にさらしてまで働こうという気にならない人が一定数でてくるのは当然だ。

ただ、「強まった」と「やや強まった」が計9.5%いることにも留意する必要がある。パートが減って収入が減少すれば、それを補うために、感染リスクはあってもより仕事をしたいと思う人はいる。企業としては、こうした勤労意欲の強いシニアに安心して働ける環境を提供することが重要だ。

一方、企業へのアンケート結果では、シニアのパートに対する採用意欲に変化は見られなかった。コロナ禍の中にあっても、業種によっては、シニア人材の採用を強化している。感染が収束に向かえば、シニア人材への需要は更に高まるだろう。このままでは、需給バランスが崩れ、需要過多が懸念される。企業は、感染リスクを低減して、勤労意欲の強いシニアを受け入れ、加えて、勤労意欲の弱いシニアに再び働く気持ちを抱かせるような職場環境の整備を進めるべきだ。