コロナ禍・シルバー就業率にも打撃 徳之島町シルバー人材センター
公益社団法人徳之島町シルバー人材センター(高岡秀規理事長、会員数173人)の2021年度総会は25日、亀津東区自治会館であった。例外なき新型コロナウイルス感染症の影響で、20年度受託事業は契約額が前年比11・8%減、就業率は61%に低迷。収束見通しの立たないコロナ禍は高齢者たちの雇用・生きがい確保にも打撃を及ぼしている。
(中略)
島内でも新型コロナ感染者が確認されことによる受注減に加えて、「3密」になりがちな屋内清掃や5人以上の作業などの受託は自粛を余儀なくされた。
(奄美新聞 5月26日)
コロナ禍の影響は、全国に及んでいるが、観光など人が移動することを前提とした産業に依存している地方では、特に大きい。北海道や沖縄は、昨年Go Toトラベルで感染拡大を招き、今年はゴールデンウィークの観光客増加で昨年以上の感染爆発を引き起こした。その結果、観光や飲食を始めとしたサービス業は業績の低迷が長期化し、雇用情勢も厳しい状況が続く。
鹿児島県徳之島も同様に観光に依存している。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、昨年、IUCN(国際自然保護連合)から世界自然遺産への「登録」の勧告を受けており、本来であれば、エコツアーなどの観光客が多く訪れるはずであったが、逆にこの1年、観光客は激減した。主力の観光業の需要が減少すれば、それに関連する他の産業にも負の連鎖が及び、島全体の雇用を減少させている。
ワクチン接種が進むにつれて、観光需要は回復に向かうと思われるが、高齢者の雇用が増加するとは限らないし、一旦、仕事を離れた高齢者がすぐに仕事に戻ってくるとも限らない。観光業の本格回復には、観光サービスの利用者と提供者の双方が安心できる環境になることが重要だ。ワクチンの有効性は95%程度と高いが、100%でない以上、感染リスクは残る。観光業など人と接することが避けられない業界では、ワクチンが普及しても新型コロナウイルスの完全終息に至らないことも想定して、高齢者の安全な就労のあり方を考えておく必要がある。