70歳を過ぎても就労を望む米国の高齢者が増加
米国では、70歳を過ぎても働くか、いっそのこと退職せずにずっと働くつもりの人が増えているという調査結果が発表された。米リバースモーゲージ企業のアメリカン・アドバイザーズ・グループ(AAG:American Advisors Group)が2021年5月6日に公表したこの調査結果は、米国では多くの高齢者が、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけにして自身の老後プランを見直し、生活の質を維持しようとしていることを示している。
(中略)
5分の1近く(18%)は、70歳を過ぎても仕事を続けると回答。2019年調査の8%から増加した。また、フルタイムの仕事を辞めるつもりはないという回答は12%で、こちらも2019年調査の6%から増加した。
(Forbes JAPAN 5月16日)
米国で70歳を過ぎても働きたい人が増えているのは、主に、経済的な理由からだ。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、経済的なダメージを受けた高齢者は米国でも多い。これらの人々は、引退の時期を遅らせる必要があると感じている。
しかし、足元では、バイデン政権の支援策もあり、パンデミックが終息に向かっても、すぐに職場に復帰しようとしない人も少なくない。当面、働くより給付金を受け取っていた方が得なこともあるからだ。そのため、人手不足から供給不足を招き、ポスト・コロナで回復する需要を満たしきれず、米国経済がインフレに陥る懸念も出てきた。
その中で、今回、長期的には、70歳を超えても働きたい人が増えているという調査結果が出たことは、米国経済の持続的な成長にとってプラスだ。
同様に、日本でも、新型コロナウイルスへの感染を恐れて労働市場から離れていた高齢者が、経済的な理由から、ワクチン接種を機会に仕事に戻ることが期待される。現在の雇用情勢は厳しいが、ワクチンによって集団免疫が獲得されると、今まで抑制されてきた消費が爆発し、サービス業を中心に、一転して人手不足になる可能性がある。そのときには、高齢者が労働力の供給源として一定の役割を果たすだろう。