YKK、正社員の定年廃止 生涯現役時代に企業が備え

日本企業が「生涯現役時代」への備えを急いでいる。
(中略)
YKKは4月、国内事業会社で従来の65歳定年制を廃止し、本人が希望すれば何歳までも正社員として働けるようにした。同社は職場での役割に応じて給与が決まる役割給を採用している。今後は会社が同じ役割を果たせると判断すれば、65歳以上でも以前の給与水準を維持できるようにした。
(日本経済新聞 4月19日)

YKKは、もともと、定年を60歳ではなく、65歳に延長していた。この4月からは、改正高年齢者雇用安定法の施行に伴い、定年そのものを廃止する。制度上は、70歳を超えても働くことが可能となった。

恐らく、YKKは65歳定年制を運用する中で、役割給に関するノウハウを蓄積してきたのだろう。年齢とは関係なく職場での役割に応じて給与が決まる役割給は、外資系の企業では普通の人事制度だが、日本企業では、従業員の心理的な抵抗を乗り越えなければならず、定着させるのが難しいこともある。

会社が同じ役割を果たせると判断すれば、65歳以上でも以前の給与水準を維持できるとしても、「同じ役割を果たせる」か否かの判断は、会社と本人で一致するとは限らない。降格や給与引き下げに本人が納得しない場合は、本人の意欲とパフォーマンスは劣化する。定年廃止をするためには、従業員の成果や能力について、会社と従業員の双方が納得できるような評価手法の確立が必要だ。