給料4~6割減が過半、定年後再雇用の厳しい現実

業務量や拘束時間はあまり変わらないのに給料は大幅ダウン――。
日経ビジネスは2021年1月、40~74歳を対象に定年後の就労に関する意識調査を実施し、約2400人から回答を得た。そこから明らかになったのは、定年後再雇用の厳しい現実だ。定年後も働く理由は「今の生活資金のため」が最も多く、「社会貢献や社会との接点を維持するため」「趣味や娯楽を楽しむ資金のため」といった回答を上回った。定年後の雇用延長には賛成が半数を超えたが、一律の制度適用には慎重意見も多く寄せられた。
(日経ビジネス2月25日)

今回の「定年後の就労に関する調査」では、同じ企業で再雇用されている人が6割以上を占めた。定年後に再雇用するのは日本の大企業にとって、典型的な人事制度だ。定年を延長する企業が増えてきたとはいえ、多くの企業は、定年後に再雇用して年収を削減する制度を維持してきた。
再雇用の年収は定年前の6割程度が相場になっているが、「5割程度」が19.6%、「4割程度」が13.6%とより低い年収の企業も一定数ある。業務が同じであるにも関わらず、極端に給与が下がると働く側のモチベーションの維持は難しい。年金の受給開始年齢が65歳となる中、それまでは働かなくては生活が厳しいのも事実だが、あまりに待遇が悪いと働こうとする人が減る。あるいは、就労してもあまり働かない従業員となる。
企業としては、再雇用での年収を定年前の6割以上としても、働く高齢者からそれに見合う価値を十分に引き出せるような業務のあり方を模索しなければならない。