金沢の商社、定年退職を事実上廃止へ2度目の退職金も
化学品や情報システムなどを扱う商社の三谷産業(本社・金沢市、東証1部上場)が2日、無期限の継続雇用制度を4月に新設すると発表した。年齢制限をなくして長く働けるようにし、継続雇用を終える時に2度目の退職金を支給するのが柱。定年退職を事実上廃止する制度と位置づけており、上場企業では極めてユニークな人事制度となる。(朝日新聞2月2日
定年を延長する企業は、少しずつではあるが増えている。さらに、定年廃止に踏み切る企業も出てきた。ただ、定年廃止は高齢の社員の処遇が難しい。企業としては、高齢者の給与を抑えたいところだが、同一労働同一賃金の原則は守る必要がある。このところの裁判では、一定の退職金が支給されていることを理由に、定年退職後の再雇用で賃金が下がることを容認する判決が続いた。企業としては、60歳以降の賃金を下げるには、60歳で一旦退職させ、退職金を支払っておいた方が良いと考えるのも無理はない。従業員の方も、60歳で退職金を受け取ることを歓迎する人が多いだろう。複数回退職金を受け取るという点では、公務員の天下りと同じだが、高級官僚の天下りでは、公務員時代よりも退職した後の再就職先での待遇の方が良く、退職金も天下り先の方が多い。三谷産業の新たな人事制度は、待遇面では官僚の天下りとは逆だ。ただ、本人が望めば、所属する組織が生涯に渡って働く場を提供する制度である点は同じとも言える。民間企業も公務員の世界に少し似てきた。