非正規が初減少、解雇や雇い止め

総務省が29日発表した20年平均の非正規労働者数は、前年比75万人減の2090万人だった。女性や高齢者の就労を背景に増え続けていたが、比較可能な14年以降初めて減少に転じた。感染拡大に伴う企業の経営悪化で、解雇や雇い止めが増加したためとみられる。失業率も悪化し、雇用情勢の悪化が鮮明となった。(共同通信1月29日)

一部製造業のように緊急事態宣言下にあっても業績を向上させている業界もあれば、飲食や観光、運輸のように需要の激減に見舞われて正社員の雇用の確保も厳しくなっている業界もある。また、企業を個別に見れば、飲食業でもワタミやスシローのように、実店舗に見切りを付け、いち早く宅配を強化した企業は、業績を向上させてきた。一年に及ぶコロナ禍の中で、業界や企業間での優劣の差は拡大している。業績回復の目処が立たない業界や企業では、非正規雇用の縮小が顕著になってきた。特に、高齢者と女性は、今までの非正規雇用増加の中核であった分、減るときの影響も大きい。業績を伸ばしている企業が非正規雇用の受け皿になることが期待されているものの、好業績の企業も、その多くは、若手の採用には積極的でも高齢者の大量採用に動くには至っていない。厚生労働省は、雇用調整助成金を事業主に支給して、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に従業員の雇用維持を図ることを支援しているが、事業を拡大している事業主が新規採用を拡大することも支援すべきだ。コロナ禍が過ぎ去るまで堪え忍ぶのではなく、ポスト・コロナの時代を見据えて事業構造を変革している企業に労働力をシフトさせることも、産業政策や雇用政策として、今後は重要になる。