外出せずに内職請負、ひきこもりや高齢者の雇用創出
内職業務を請け負う丸進梱包(前橋市大友町、平出武史社長)は、作業者が外出しないで内職を請け負えるシステム「JobHi!Networks(ジョブハイ ネットワークス)」の構築を進めている。ひきこもり状態の人や移動手段のない高齢者らの雇用創出につなげる。参画企業や配送場所の幅を広げ、多様な働き方の受け皿となる内職のプラットフォームを目指す。
業務に必要な部材を作業者の自宅などに配達し、完成品を受け取りに行く仕組み。クラウド上に作業内容を解説する動画を掲載するため作業者は外出したり、外部の人に会ったりせずに仕事を完了できる。作業者は募集業務や作業マニュアルを一覧できる専用サイトから請け負う業務や部材の配送先を選んで申し込む。
(上毛新聞 1月16日)
インターネットを介して単発の仕事を請け負うギグワーカーは世界中で増えている。特にこの一年は、新型コロナウイルス感染症の拡大でギグワーカーの供給がさらに加速した。ギグワーカーの仕事が減少している業種もあるが、ITや翻訳など専門的な知識や能力が必要な業種では、新型コロナウイルスの影響は少ない。テレワーク支援のように、むしろ増えている業務もある。
一方、組立や加工などの手作業を請け負う内職は長期的に減少傾向にあった。単純作業は人件費の安い海外との競争が厳しく、生産性の低い家庭内の内職が競争優位を維持するのは難しい。しかし、家庭には一定の労働力が潜在しているのも確かだ。内職市場を活性化させ、この潜在的な労働力を活用することは、コロナ禍の中で経済をまわすという点で意味がある。
この記事が紹介している丸新梱包は、内職の需要と供給を専用サイトでマッチングさせる内職市場をネット上に構築した。いわば、内職のギグエコノミー化だ。これにより、内職の作業そのものの生産性も、ITやネットを活用して向上させることが可能になる。ステイホームを続ける高齢者にとっては、自宅に居ながらにして労働市場に参加できる良い機会となるだろう。