「腰かけシニア」は限界、自ら磨いてこそ
「腰掛けシニア」。こんな言葉が企業でささやかれている。定年後にやる気をなくしたまま企業にしがみつく社員のことだ。企業活力研究所(東京・港)の調査によると「意欲を持って働いている」と答えた60代は54%と半数にすぎない。働き手としてもう一度輝いてもらおうと、一律の処遇をやめ、仕事の内容や成果を給与に反映するといった取り組みが広がっている。
(日本経済新聞 12月12日)
意欲を持って働かない社員がいるのは、社員の問題なのか会社の問題なのかという議論がよく行われる。結局、双方に問題があるというのが実際のところだ。かつては、社員も会社も定年後の再雇用は腰掛けで良いと思っていることも多かった。しかし、70歳まで働く時代になると60歳から70歳まで腰掛けというのではあまりに長い。シニア本人とっても会社にとっても、シニアが意欲を持って能力を遺憾なく発揮する職場環境が提供されることが望ましい。
企業の中には、シニアの給与体系を成果に応じて現役並にするところも増えてきた。そもそも、現役の給与体系が成果主義であれば、年齢によって現役か現役でないかを区別する必要もない。たとえば、元々定年のない米国企業は、年齢によって給与体系が異なるということはなく、20代も60代も給与体系は同じだ。日本企業もそれに近づく傾向にある。
一方、社員の方も、長く働くという前提に立って、将来を見据えた自分のキャリアを考え、早めに備えるようになってきた。それまで勤めてきた会社の中での居場所だけでなく、社会の中で活躍する場を探す人も多い。今までの肩書きを外して探してみれば、可能性は意外に広がっていることに気づくはずだ。