ホンダ、55歳以上に早期退職優遇制度
ホンダは2021年度から中高年やシニアの正社員向けに早期退職時に割増退職金を払う制度を導入する。55歳以上が対象で、希望すれば再就職支援も実施する。ホンダは17年に定年を60歳から65歳に延長したが、車の電動化などが急速に進み若手やソフトウエア技術に強い中途社員へのニーズが強まっている。新制度で年齢構成や人員配置の適正化を進める。
21年4月から「ライフシフト・プログラム」と名付けた制度を新たに導入する。早期退職の募集人数や期限は定めない。初年度は55歳以上64歳未満、2年目以降は59歳未満の社員を対象とする。
(日本経済新聞 12月3日)
希望する社員に対して雇用を延長する一方で、希望すれば早期退職もしやすくする企業が増えている。ホンダが導入する早期退職制度は、定年延長による社員の高齢化を軽減し、新たな技術者の獲得のための原資を生み出すことに効果を発揮するだろう。一方、従業員にとっても、働き方だけでなく、辞め方についても選択の自由が拡大することは、歓迎すべきことだ。それぞれの生き方に応じて、いつ退職するかを決めることができる。
もっとも、割増退職金をもらって早期退職ができるとなれば、退職後の転職先が決まっているなど、いわゆる市場価値の高い社員から先に退職していくことにもなる。ただ、労働市場が自由市場だという前提に立てば、ホンダも、必要な人材には、その市場で獲得できるような待遇を提供すればよい。つまり、企業内のシニア社員の待遇は、今後、市場価値で決まるようになっていく。