シニア人材雇用、企業の半数で「課題」感
パーソル総合研究所(東京・千代田)によると、シニア人材の雇用について課題を感じている企業の人事担当者は半数にのぼる。シニア社員のモチベーションの低さや管理の難しさに懸念が集まった。2021年4月から、70歳までの就労機会の確保が企業の努力義務になる。具体的な対応では定年後の再雇用を実施・検討する例が多い。
(日本経済新聞 12月1日)
70歳までの就労機会の確保は、人件費の上昇を招き、重荷になると感じている企業は少なくない。65歳まで雇用している現在でも課題があるのに、70歳まで延長するのは、厳しいと多くの経営者が考えている。確かに、現在抱えている問題を解決しないまま、雇用年齢を延長しようするのは難しい。
この調査では、70歳まで就労機会を提供する努力義務への対応として、「定年後再雇用」と回答した企業が65%と最多だった。しかし、60歳定年で65歳まで再雇用という制度は、既に、多くの企業で取り入れられている。それを70歳までの再雇用に延長しても、モチベーションの低さや管理の難しさという現在の課題の解消にはつながらず、むしろ、期間が長くなることで課題感はさらに増すだろう。
まず、モチベーションを上げ、管理を容易にする人事制度の導入を検討すべきだ。シニアのモチベーションが低い要因の一つは、企業がシニアに期待する価値とシニアが提供したい価値に齟齬があるからだ。このため、シニアの中には、業務内容にも処遇にも不満が残って意欲が湧かない人が出てくる。シニアを年齢によって一律に扱うのでなく、個々の能力と希望に応じて、仕事とのマッチングをより精緻に行い、業務に応じた待遇をする必要がある。